大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

黒く光るボディ

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『THE GRASSHOPPER』は、弱冠18歳のときに監督した初の自主制作映画だ。『仮面ライダー』をモチーフとしたアクションもので、スカルペイントのヘルメット男が登場する。主力スタッフだった荒船泰廣 (@arafune)や鉄面あなざ(@Gadjetmovie)は、現在ではプロのクリエイターとして活躍しており、かくいう自分も本作がきっかけとなって雑誌「宇宙船」に寄稿するようになった。口幅ったい表現をするならば、自分にとって原点ともいえる作品である。主演俳優が所有していた自転車用のプロテクターに、ゴミ捨て場で拾ってきたメットを組み合わせた主役スーツは、やや頭でっかちで不格好なところもあったものの、それが当時の限界であり、きっかり10年後にリベンジを果たすこととなる。


社会人になってから初めて撮った自主制作映画『D/I/Y』に登場するバトルスーツがそれだ。企画当初は、かつてのスーツを使い回す予定というか、実際にそれで短いテスト映像も撮っているんだけれど、せっかくの機会だからとオール新造することにしたのだ。製作者は、のちの“センセイ”ことぱしみ(@nicesharp)くん。まだ大学生だったが、当時から彼のセンスとスキルは大したものだった。しかし結局、この映画は参加メンバーのスケジュールが噛み合わず、あと少しのところで頓挫してしまう。社会人は忙しいのです……。で、バトルスーツも奥底に仕舞い込んでたんだが、なんと彼に再登板のチャンスが与えられた。*1 そこで早速、我が家工房にて床山皇帝(@Kaisel_Kaiser)に試着してもらった次第。う~ん、カッコいいじゃない!*2 やっぱりこいつで1本撮ってやりたいなあ。

*1:このバトルスーツが、そのまま使用されるわけではないんだが……詳細は、また後日!

*2:あとで武器小道具担当だったメラーノ(@samuhara)くんに確認してみたら、コンバットナイフの付け方が間違っていたらしい。あれー?

ギロチングキング製作記(その7)

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ミツクリザメ、ノコギリザメ、シュモクザメ、ヘリコプリオン、ステタカントゥス……ギロチングキング(仮)は、古今東西のサメの集合体である。しかし丸っこいバグるみをベースにしたため、サメというよりもフグのようなシルエットになってしまった。また、サメの象徴ともいえる背びれも、やや取り付け位置が後ろ側になったこともあって、もはや数ある突起物のひとつという印象だ。正直、これでサメ怪獣と言い張るのは無理がある。

それならいっそのこと、ハリセンボンとかの怪獣にしたほうがいいんじゃないか。冷静になってデザイン画を眺めてみると、何故か腰からサザエが生えてるし、もう無理にサメの頭を武器にしなくてもいいかなあ。ちゅうか、無理に換装させる必要もないよね。そもそも名前の由来になってるギロチンが、身体のどこにも付いてないのはどうなんだ? そんな妥協混じりの会話をしつつ作業を進めていたら、思いのほか精悍な面構えになり、やっぱりサメの怪獣でいいかもしれんと、妙に心変わりの忙しい今日この頃であった。

ギロチングキング製作記(その6)

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仮の目玉と尻尾を付けて、ちょろっと歩行テストしてみた。しかし半年以上も作り続けていると、怪獣でさえ日常になってしまうのだなあ。近所のおじさんおばさんは、その姿が目に入ったところで歩みを止めることなく、今や警戒心を抱いてくれるのは散歩中のワンちゃんくらいである。もうちょっとビビってくれませんかね。こっちは怪獣だぞ、怪獣。

まあ、それはそれとして、このギロチングキング(仮)最大のウリは、四足歩行から二足歩行へのスタイルチェンジであり、どちらの形態もカッコよくなくてはならない。しかし現段階では、後者がいまいち間延びした印象だ。下顎が付いたら解決する問題なのかもしれんが、あるいは立ち上がったときにツノに見えるようなトゲトゲでも生やすべきなんだろうか。しかしこいつ、もはやサメでもなんでもないね。フグじゃん。フグゴンじゃん。

ギロチングキング製作記(その5)

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バグるみの残骸、根こそぎ使ってしまうんじゃないかという勢いで流用しまくっているギロチングキング(仮)。前回の製作記では、なんとなくの雰囲気を確認するために頭っぽいパーツ、背びれっぽいパーツ、尻尾っぽいパーツなどを仮止めしている状態での写真を載せていたが、いよいよ本決まりのパーツを接着してみた。う~ん、トップヘビー。

自分も大概トゲトゲ好きなものの、床山皇帝(@Kaisel_Kaiser)はその比じゃないね。ほとんどビョーキである。ちなみにこれ、実は1回全部剥がして付け直してるんだけど、改めて写真で見てみると、全体的にパーツが後ろ側に寄り過ぎている気がしてならない。もう一度剥がそうと言ったら、床山皇帝は嫌がるだろうなあ。しかし何故、我々は細かく位置決めをしてから接着しないのか? それは誰も知らない大宇宙の謎である――。*1

*1:ヒント:学習能力

ギロチングキング製作記(その4)

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一種の山場ともいえる撮影を終えて、ちょっとした燃え尽き症候群になっていた我が家工房。ここらでひとつ充電期間を設けようということになり、しばらくは着ぐるみの破損を直したり、来客を招いたり、夏のボウフラ対策で芝刈りをしたりと、そんなに根を詰めた作業はしていなかったんだけれど、3月頭よりぼちぼち稼働再開している。マーベル・シネマティック・ユニバースになぞらえるならば、ここからが我が家工房のフェイズ2だ。

で、そんなフェイズ2の第1弾が、ギミック満載の四ツ足怪獣ギロチングキング(仮)である。今となっては懐かしいバグるみの残骸パーツを流用しまくることで、作業時間を大幅短縮! わずか数日の間に、大まかな形はできてしまった。デザイン画のようにスマートなシルエットにはならないだろうが、グビラやサメクジラの遺伝子を受け継ぐ怪獣としては、むしろ正解だろう。しかし、デカい。デカすぎる。こんなに何も考えずに新怪獣をボコボコ作ってていいんですかね。フェイズ2は、場所との戦いになりそうだなあ。

ギロチングキング製作記(その3)

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ジョルジュ星雲人と同様、ずっと止まっていた四ツ足怪獣ギロチングキング(仮)の製作記だが、こちらの作業も深く静かに進行していた。1月初旬の時点で、すでにデザインもFIXまで持っていくことができていたのだ。初稿、第2稿の段階では、イメージソースのひとつだった『宇宙猿人ゴリ』のゼロンの影響を振り切れずにいたものの、もはやその面影を見出すことは不可能だろう。愛嬌の欠片もない、実に我が家工房らしい怪獣にまとまったと思う。なお、ブレード、ハンマー、ノコギリの換装ギミックは、どこまで造形で再現できるか分からないけれど、ひとまず挑戦してみようということになった。もしかしたらオミットするかも……。しかし、こいつのギミックは武器チェンジだけに留まらない。


なんと後ろ足で立ち上がり、二足歩行スタイルをとることができるのだ。第二の顔というアイデアには、自分も驚かされた。古代の海を荒らし回っていた大海獣が、侵略者の手によって様々な武装や新たな頭部を埋め込まれたといったところか。こちらの顔は、いつも通りの複眼になっている。バラモンキングも、ウイップ星人も、ジョルジュ星雲人も複眼だった。ちなみに、これまで語らずに来たが、ウチの怪獣には「カイゼル・ベム」なる正式名称がある。カイゼルとはもちろん、床山皇帝(@Kaisel_Kaiser)の二つ名であるカイザーから取ったもの。ベムのほうは、宇宙怪物を意味するBEM(bug-eyed monster)であり、要するにウチは複眼一本でいきますよという宣言と受け取っていただきたい。そういう意味では、これが最初で最後の瞳付き怪獣となる可能性が高い。貴重な一体です。