大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

新しいヒーローの誕生!!

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ウルトラシリーズ最新作『ウルトラマンタイガ』が、今年の7月より放送開始されることが正式発表された。自分は仕事柄、ずっと前からデザインも設定も知っていたわけだけど、もっと賛否両論というか、むしろ否のほうがネット上では目立つタイプの企画だと思っていたので、意外とすんなり受け入れられていて驚いた次第。もちろん、年季の入ったファンは怒ったり、嘆いたり、ブーたれたりしている。しかしオジさんとはそういうもので、そうではない若者ですら中年化してしまうのがマニアという生き方だと思う。


少なくとも自分はそうだった。むしろ今のほうが、学生時代よりも視野が広がったぶん、ずっと寛容になっているくらいだ。別に文句がないわけでもないけど、しゃーないもんなあという諦めの境地ともいえるかもしれない。しかし最近の若い特撮ファンは、あまり否定的な意見を発信しない傾向にある。人間なんだから……ましてマニアともなれば、絶対に好き嫌いはあるはずなんだけど、実際に目にするものはポジティブな意見ばかりなのだ。特にツイッターでは、そういった振る舞いが正しいとされているような気がする。


確かに作品を批判する際、そこに否定的な意見が含まれていると、熱心なファンから強い反発を受けることはある。私は私、あなたはあなたであって、こういった見解の相違が争いの原因になること自体がナンセンスなんだが、決して珍しいことではない。たぶん、それが面倒だから本音を隠しているのだろう。まあ、それもひとつの処世術だ。“好き”のみをアピールしていれば、誰とも喧嘩にはならない。ただ、これは理想論かもしれないけれど、みんなが他人の“嫌い”も受け入れる度量を会得すればいいだけの話なのよね。*1


で、超獣ファック! 『ウルトラマンタロウ』の脚本はボクにも書ける! というオタク第一世代のオジさんとも仲良くやってる度量の広いガイガン山崎さんは、どうにもこうにもウルトラマンタイタスのルックスが許容できない。ふと気付けば、本来のU40系のデザインラインに則ったタイタスを描いていた。う~~~ん、地味! 鼻はあるけど、華がないって感じだ。やっぱりギンガやビクトリーを経た現在、これでは子供たちのハートに突き刺さらない。円谷プロだって、最初はこういうタイタスも検討していたはずで、それがああなったのには理由があるわけですよ。納得。ほらね、途端に物分りがいいんだボカァ。

*1:変な話、誰かの好きな作品を貶すなという理屈が通るならば、同じように誰かの嫌いな作品を褒めてもいけないはずだ。一見すると後者のほうが理不尽な要求に見えるかもしれないが、実際にはコインの裏表であり、これらを周囲に求めるような空気が蔓延すれば、極めて悪質な同調圧力に繋がるというか、もう既に少しなりかかってるように感じる。

ギロチングキング製作記(その10)

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前回のフォルムチェックを参考に、甲羅やツノの位置調整は終わらせたものの、何故かそれでも違和感が拭えない。間違いなくカッコいい怪獣になってきたはずが、何かがおかしい……。そして四方八方から着ぐるみを眺めること数分間、ようやく違和感の正体が掴めた。真正面から見たとき、目玉が見えないのである。これではどうにもキャラが弱い。


どうしたもんかと悩んだが、床山皇帝(@Kaisel_Kaiser)が言い出したか、それとも自分から言い出したか。背中の大きなツノに、“第2の顔”を付けるというアイデアが飛び出した。ダブルヘッド案、早くも復活だ。元々、ギロチン頭のほうはダミーで、真の顔は顎の下というつもりで進めていたし、背中の宇宙人に操られている設定もいいかもしれん。


まあ、いざ頭が付くと思って見てみると、前方に突き出した2本の突起物も含めて、金星ガニっぽく見えなくもない。そんなこんなで、床山皇帝から「金星だからサターン星人という名前はどうです?」なる学のない発言も飛び出したが、最終的に寄生宇宙人パイル星人と名付けました。これも床山皇帝の提案。別の生命体に身体を打ち込み、内側から侵食&改造していく恐ろしい金属生命体だ。要するにボーグ。以上!

ギロチングキング製作記(その9)

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あんなことがあったせいで先延ばしにしていた、ギロチングキングの撮影を済ませてきた。バラモンキングのときにも書いた気がするけれど、普段はパーツを分解した状態で作業しているため、たまにこうやって組み上げては全体のフォルムを確認する必要がある。その結果……顎の下に隠された“第2の顔”というギミックは諦めることにしました。

正直な話、これがやりたくて作り始めたような肝入りギミックではあるんだが、バグるみの残骸をベースに組み上げていることもあって、どうしても絵で描いたようなバランスにならなかったのである。今までに何回も書いてるように、もはやサメじゃなくてフグの怪獣みたいな体型だからね。まあ、デザイン画どおりにならないのはいつものことだ。

ただ、初期コンセプトを押し通すことによって、カッコ悪い怪獣になってしまっても本末転倒だ。まずはクールな四ツ足怪獣として完成させることを目指しつつ、なにか解決策を思いついたときに軌道修正すればいいだろう。で、とりあえず顎の下にも大きなギロチンを取り付けて、第2の顔を配置するために作った空間を埋めることに。むしろギロチン怪獣としては、そのほうが正解かもしれん。頭のツノ、あんまりギロチンに見えないしね。

ギロチングキング製作記……?

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本来ならば、ここにはギロチングキングの最新状態を捉えた記録写真が掲載され、その詳細についてあーでもないこーでもないと要らん話が書かれていたはずだ。しかし今回に限っては、そうもいかなくなった。床山皇帝(@Kaisel_Kaiser)改めバカが、ギロチングキングを着たまま徘徊していたため、通行人に通報されてしまったのである。

 

確かにご近所さんにとって、もはやウチの怪獣なんて日常の1コマではある。だが、往来とは近隣住人以外も使うわけで、しかもド深夜に真っ黒な四ツ足怪獣がうごめいていたらビックリもするだろう。まあ、こっちは何も知らずに爆睡してたんだけど、家人の「大変! 入山くんが警察に囲まれてる!」という非現実的な言葉に飛び起きた次第……。

 

彼氏、どうも写真を撮ってもらいたかったらしい。いつもは工房内で撮影してるんだが、この1ヶ月で着ぐるみも大きくなった。で、ちょっと開けたところまで移動する必要があったと。うん、ここまでは理解できる。ただ、どうして自分の到着を待てなかったかね。LINEに既読がつかない時点で、相手が寝てることに気付きそうなもんなんだけど。

 

しかも公道に出て、四つん這いで待ってたというんだから正気の沙汰じゃないよ。草木も眠る丑三つ時の住宅街とはいえ、まったく車が通らないということもない。下手したら、うちの前に怪獣のミンチが転がってた可能性もあったと考えると、これは厳重注意も致し方ない。本音を言えば、便宜上の責任者である自分だけではなく、数m先から他人事のように眺めてる怪獣にも注意を促して欲しかったわ、お巡りさん。もう! バカ!*1

*1:いつの間にか麻痺していたが、この男に常識を求めるということ自体がナンセンスなのだ。芸術家とはすべからく埒外の人間であり、そんなキ印だからこそ毎日せっせと着ぐるみなんてこさえることができるわけで、自分は自分で“猛獣使い”の自覚に欠けていたと思う。猛獣使いと少年……警官に撃たれなくてよかった。もう少年って年齢でもないけどな。来年で30だぞ! バカ!!

ギロチングキング製作記(その8)

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これぞ正統派といった面構えの四ツ足怪獣が、ガバッと立ち上がることで恐獣まがいの醜悪な正体を現す――。それが、ギロチングキング(仮)のビジュアルコンセプトだ。まあ、あんなに背中を突起物だらけにしておいて、どこが正統派なんだという声が聞こえてきそうだが、どことなく成田亨を思わせる幾何学的なラインのツノに、いかにも高山良策っぽい眠そうな目を組み合わせれば、強引に正統派として押し切ることができるだろう。

確かにそんな話をしていたはずなのに、うっかり手が滑ってエンマーゴの目を付けてしまった! いや、最初はちゃんとスカイドンとかザンボラーみたいな目を考えていたんだ。でもなんかパンチがないというか、安っぽく見えてしまったというか。結局、ふたりで怪獣図鑑を眺めながら、サドラみたいな目しようか、ブラックキングにしようかなんて話し合ってるうちに、どんどん時代が下っていってエンマーゴへと辿り着いた次第。ただ、このちょっと下顎が出てる感じは、高山良策っぽくないかしら。焼け石に水ですか?

ディオニス製作記(その2)


床山皇帝(@Kaisel_Kaiser)から上がってきたディオニスの初稿は、如何にも彼らしいムチムチ具合で、当初はウエットスーツでいこうと思ってたけど、『超光戦士シャンゼリオン』のザ・ブレイダーよろしくウレタンで作るのもいいかもしれない。そういえば、あいつも緑色のマッチョマンで髪の毛が生えてた……って、なんで髪の毛が生えてるの!? 流石に気になって床山皇帝に尋ねたところ、メロスの兜を意識したものらしい。どういう理屈で附物が遺伝するのか分からんが、“メロスの息子”ってのは裏設定でもなんでもなく、あくまでもデザインの取っ掛かりなので、これはこれでいいか。ただ、額の飾りはアクションの邪魔になりそうだからオミットしたいなあ。そんなことを考えてたら、いつの間にか半年経っていた。ダメだ、どうしてもヒーローだとモチベーションが上がらない!


そこで知り合いのイラストレーターである金子大輝(@taikikaneko1989)さんに、オリジナルヒーローをデザインしてみる気がないか水を向けてみた。夏頃にいろいろあったせいか、*1 今後は版権ものだけでなく、オリジナルも手掛けてみたいと呟いていたのを見掛けたからだ。ちょうど去年の暮れくらいに打診したんだったかな。やっぱり餅は餅屋、ヒーローはヒーロー好きに任せたほうがよかろう。で、向こうも興味があるとのことで、しばらくしたら検討ラフ(右図)が送られてきた。う~ん、ちょっと違うかなあ。床山皇帝の初稿から90年代ヒーローテイストを拾ってきて、彼なりに換骨奪胎してくれたのは分かるんだが、いまいち巨大ヒーローに見えない。白というメインカラーも、汚れが目立ちそうでいまいち現実味がないような気がする。特に床山案は気にしなくていいと言ったものの、緑色のメロスっぽいヒーローというコンセプトは残したほうがいいのかも……。

*1:よく知らない人は、「金子大輝 炎上」でググってヤフれ!