昆虫飼育の醍醐味は、ただ図鑑の写真を眺めているだけでは分からないことの“発見”にある。もちろん、学術的な意味における発見ではなく、クワガタはカブトムシほどゼリーを食べないとか、それぞれ排泄物を飛ばす方向が違うとか、そんな些細な事柄だ。また、そういった知見を得たうえで図鑑を読み返すと、さらなる気付きがあったりする。
結局、怪獣と違って、昆虫に関しては知らないことだらけなのだ。だから、ごく当たり前のことが抜け落ちてたり、うっかり思い込みをしていることもある。そのひとつが、クワガタの越冬についてだ。ひと夏の命であるカブトムシと違い、クワガタは半年から数年生きる。しかしセアカフタマタクワガタは、冬を越すことができない種だった!*1
そんなことは露知らず、地中でひっくり返っているメスクワを見て、冬眠モードに入ったんだと勘違い。脚がヒクついているのも、生きてる証拠だと思ってたんだが、何のことはない。瀕死の状態だったのである。そして自分の勘違いに気付いたときには、哀れメスクワは昇天していた……。今になって考えてみると、デカくてカッコいいオスのマタふみと違って、メスクワには手間を掛けてやれなかった気がする。うーむ、後悔先立たずだ。