大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

レッドマンを総括しろ!


殴れ! 殺し合え! 怪獣皆敵、一日一レッドファイト! 流石にもう、『レッドマン』について書くこともなくなってきた感じだが、インターネッツを眺めていると、意外とレッドマンにまつわる各種設定がまとめられているページが存在しないことに気付く。まあ、雑誌やムック本で大々的に取り上げられる番組、キャラクターでもないから仕方のないことかもしれない。そこでこれまで散々いい加減な妄想を書き連ねてきた罪滅ぼしではないけれど、レッドマンの人となりについて軽く振り返っておきたい。


怪獣退治の専門家であるレッドマンは、過去1万年に起きた宇宙の怪事件や怪獣をすべて記憶しており、過去のデータと比較しながら怪獣と戦う。光や熱エネルギーが活動の源で、地球にやってきてからは太陽光線をエネルギー源にしている。そのため、太陽が出ているときは無限(!)に戦うことが可能だが、空が曇っていたり雨が降っていると、存分に力を発揮することができない。しかし、夜間でも30分(10分という記述も存在)も活動できるというのだから、M78星雲人と比べるとかなり燃費のいい体質だ。また熱をエネルギー源としているだけあって、高熱には強く、30万℃の超高熱下でもダメージを受けることがない。その一方で寒さには弱いようで、氷点下では身体が動かなくなってしまうという。チャンドラーになりかけの黒ずんだペギラはともかく、フルスペックのガンダーやマーゴドンであれば、ワンチャンあるかもしれない。ないかもしれない。


その他のスペックについても、ざっくりと書き記しておく。宇宙空間での飛行速度はマッハ5、走力は時速約660km、ジャンプ力は東京タワーも軽くひとっ飛び、水中を時速50kmで泳ぎ、地底も時速30kmで掘り進む。もう何万年も生きており、地球人に当てはめると22歳くらいの青年とのことだ。ちなみに同時期に活躍していたウルトラマンエースの飛行速度はマッハ20、走力は時速約580km、ジャンプ力は900m、水中を時速408kmで泳ぐ。エースドリルを身につけるまでは地底に潜ることができなかったが、単純比較ではエースのほうが強そうだ。もっともレッドマンには持久力という圧倒的なアドバンテージがあるため、仮に刃を交えることになったら、どちらが勝つかは分からない。


ただ、いくら無制限に活動できるといっても、別に疲れないワケではないだろう。実際、レッドマンの戦いには疲労が垣間見える瞬間があった。週一のウルトラ兄弟と違い、ほぼ毎日戦っているのだから無理もない。また、レッドマンは怪獣を倒したあと、母星への連絡と思しき勝利のポーズを取ることもあれば、その場を足早に立ち去ることもある。『帰ってきたウルトラマン』に、郷秀樹の耳だけがアーストロンやサドラの存在を感知するくだりがあったが、レッドソナーイヤーも地上・地底・海中を問わず、300km四方の怪獣の鳴き声を聞き分けることができる。レッドマンの行き先、それは新たなる戦場に違いない。彼は休むことなく、文字通り日夜戦い続けているのだ。


そしてレッドマンは肉弾戦のほか、レッドアローやレッドナイフといった近接武器で戦うことが多いが、実はシュガロン戦におけるレッドサンダーのように光線技を使うこともできる。運悪く我々が目撃することがなかっただけで、強力レッドレザーやレッドショット光線、スライスカッター、レッドファイヤーといった多彩な技の持ち主なのである。ただし、これらの必殺技は、かなりの体力を消耗してしまうのだろう。近接戦闘をメインに据えたバトルスタイルは、連戦に次ぐ連戦を生き抜くためのレッドマンの知恵といえる。


さて、そんなレッドマンは、はるか銀河のレッド星雲レッド星からやってきた。番組企画当初に構想されていたオリジナル怪獣のグレイガス、ビッグライガー、スフィンガーが登場する美研のホーム紙芝居では、第七銀河系のレッドスター出身とされているが、第七銀河系にあるレッド星雲のレッド星またの名をレッドスターからの来訪者と考えればいい。
さらに第七銀河系には、平和の星レッドスターと相対する悪の星ブラックスターが存在する。レッドマンは、ブラックスターの地球侵略を阻止するために派遣された勇者とのことだ。紙芝居では、レッドマンと地球人のファーストコンタクト、そして地球での最初の戦いが描かれているのだが、テレビにおける戦いの裏にもブラックスターが関与していた可能性は高い。なお、のちの『ウルトラマンレオ』に登場するブラックスターは、地球から1000万kmほど離れた場所にあるそうなので、別の天体と考えたほうが自然だ。ひょっとすると侵略を激化させるべく、地球に急接近してきた可能性もあるが、宇宙のあちこちに点在する悪魔の星々なのかもしれない。ちなみに『レッドマン』におけるブラックスターの親玉は、ブラック指令ならぬブラックワンだ。


そして何よりも大事なことだが、円谷プロの公式設定資料には「(レッドマンは)平和を愛する優しい心の持ち主」と記されている。断じて“赤い通り魔”などではない。まあ、フルタのレッドマンガムの包み紙には「きさまこのレッドマンさまとやるきだな!」「レッドマンさまのアッパーカットでもくらえ!」などと物騒な台詞が踊っていたが、柄が悪いからって正義を守れない道理はないハズである。いわゆる不良のレッテルをはられている空条承太郎にも、はき気のする『悪』はわかるのだ。
そもそも戦いざまだけ抜き出すならば、初代ウルトラマンのほうがよっぽど柄が悪いし、仮面ライダー王蛇ばりのバトルフリークである。レッドマンは、ジラースを突き飛ばしてシュワッハッハ!とか笑わないし、エリマキを引きちぎって挑発したりもしない。ただただ確実に息の根を止めているだけだ。手負いの獣ほど恐ろしいものはないのだから。


いやいや、別に自分はレッドマンの名誉を回復したかったんじゃない。たとえ冗談半分だったとしてもレッドマンが殺戮者、怪獣が被害者という見方が広まってしまうのはマズいと思ってるだけなんだ。特に後者。ゾフィーも、いつの間にかヘタレキャラが定着してしまった。ガレージキットならともかく、マスプロダクツで頭に火のついたゾフィーが何度も発売されるなんて異常事態だとは思わないのか。ゾフィーがヘタレという笑いは、ゾフィーウルトラ兄弟No.1であるという大前提があってのもの。そこを置いてけぼりにして、実は情けないという部分だけ一人歩きしてしまっているのが現状である。ふとしたきっかけで、キャラクターの立ち位置は変質してしまうものなんだ。
それは怪獣にしても同じことで、やっぱり可哀想だなんだと哀れまれると、怪獣サンの商売は上がったりじゃないか。怪獣に身も心も捧げたガイガン山崎は、「にくい怪獣ぶっ殺せ!」と謳われてこその怪獣稼業と考える。


もちろん、本来の『レッドマン』には怪獣おじさんの前説が付いていたのだが、別にそれがなかったからといって、当時の子供たちは怪獣たちを哀れんだりはしなかっただろう。いちいち御託を並べるまでもなく、大抵のマンは正義の味方であり、また大抵の怪獣は生まれ持っての悪なのだ。何らかのエクスキューズが必要なのは、むしろ怪獣がいいヤツだった場合であって、ヒーローと怪獣の戦いに眉をひそめるのはPTAであったり、親御さんの仕事でしょう。同じ地球に住む生き物なのに、殺しちゃうなんて可哀想……。そんなクソたわけた良識が頭をもたげたときは、『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』における篠原ともえの顛末を思い起こして欲しい。ゴジラがみたらおこらないかな。おこるだろうな。この精神が大事です。殴れ! 殺し合え! 怪獣皆敵、レッドファイ!!