大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

おっ゚て


『鳥山明 ドラゴンクエスト イラストレーションズ』、自分の好きなパーフェクト網羅系ムックではなかったものの、これまで見たことがない絵もいっぱい載っていたので概ね満足。ちなみに『ドラクエVI』までのモンスター画稿は、1996年に発売された『「ドラゴンクエストモンスターズ鳥山明イラストレーションズ』に完全収録されている。5年前の『ドラゴンクエスト25thアニバーサリー モンスター大図鑑』には、当時の非ナンバリングタイトルも含めた全作品のモンスターが載っているが、すべての画稿にCG着彩がなされており、さらにドット絵も混ざっているため、あくまでも画集ではなく図鑑という割り切りが必要だ。もっとも“鳥山明の画集”という形では発表することのできないデザインも多数掲載されているため、これはこれで持っておいて損はない。


熱心なドラクエファンには周知の事柄だが、現在のドラゴンクエストモンスターズの多くは鳥山デザインではない。また、それはプレイアブルキャラクターにしても同様で、たとえば『ドラクエV』のフローラやサンチョ、主人公の子供たちのデザインは、攻略本のイラストなどを手掛けた東映のアニメーターによるものだといわれている。
で、『テリーのワンダーランド』以降の雑魚モンスターは、下手したら一体も手掛けていないというのが自分の見立てだったんだけど、今回の本を読んでみてそれは大きな間違いだと分かった。ギガントドラゴン、ネクロバルサ、コングヘッド、デュラハーン、バードファイター、びっくりサタン、プークプック、ポグフィッシュ、リンリン……『ドラクエVII』以降も結構描いていたのだ。びっくりサタンに関しては、ひょっとしたらと考えなくもなかったが、ネクロバルサみたいなどうでもいい感じのモンスターまで鳥山のデザインだったとは、これこそびっくりである。ひょっとして史上最高につまらないデザインだと思いつつ、『モンスターズジョーカー3』では世話にならざるを得なかったカイザードラゴンもそうなんだろうか?


まあ、それはそれとして「メインのキャラたちやラスボスみたいな大物」以外のデザインが、鳥山以外の人間の手に委ねられているって、これまでにもハッキリと明言されたことはあったっけ。他でもない鳥山自身が、まえがきで述べていて少し驚いた。これまでもこれからも、ずっと暗黙の了解として明言されないものだとばかり。
しかし、その一方で『ドラクエVIII』での働きっぷりは特筆に値する。ミーティア姫みたいなチョイ役はもちろん、まさか街の住人まで描いていたとは……。たぶん、当時の「Vジャンプ」なんかには載ってたんだろうけど、寡聞にして知らなかったよ。ただ、確かにあらくれのドット絵からの起こしなんて、紛れもなく天才の仕事ではある。「あっ、こういう形のマスクだったんだ!」って納得させられたもんなあ。そもそも何なんだ、あらくれって。『ドラクエI』のドッター(安野隆志か?)は、どんな姿の男を想像して、あんなものを打ったのか分からなすぎる。これもまた、天才の仕事です。


ドラゴンクエスト モンスターズギャラリー スーパーHG シドー