大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

かんたんリペイントのススメ

最近、ウルトラ怪獣ソフビのリペイントにハマっている。といっても、ソフビ職人の床山皇帝(@Kaisel_Kaiser)に頼んでこしらえてもらった響鬼オニデビルレッドマン仕様のシュガロンのように本格的なリペイントではない。ちょっとした空き時間……それこそ30分から1時間くらいで済む“かんたんリペイント”なのだ。
その作業工程については、構成作家の齋藤貴義さんと一緒にやっている『怪獣チャンネル(#19)』でも詳しく解説しているんだが、あまり模型に明るくない人にも伝わるよう、当ブログでも写真付きで分かりやすくレクチャーしてみたいと思う。



題材は、ウルトラ怪獣500の剛力怪獣シルバゴン。家電量販店やAmazonなどで買い求めれば、300円ちょいで手に入るシロモノだが、ちょっと手を加えただけで手前のクローンシルバゴンのようにイカついフィギュアに大変身を遂げる。一見すると安っぽいウルトラ怪獣500も、きちんとモールド自体は彫り込まれているのだ。かんたんリペイントの肝は、そのモールドを際だたせることで秘められたポテンシャルを引き出す墨入れ作業にある。シルバゴンのように細かいディテールを持つ平成怪獣には、特に効果てきめんだ。



まずは部分塗装。ウルトラ怪獣500は、その名が示すように低価格帯のトイであるため、あまり色数が多くない。そこを補うための作業なので、怪獣によってはすっ飛ばしても構わない工程だ。だが、どんな怪獣も口内や爪を塗ってあげるだけで、かなり見違えるぞ。今回のシルバゴンの場合、前述のポイントに加えて、ツノや腹部、さらに装甲の隙間から見える地肌(?)の部分などを面相筆を使って描き足している。
ここで使用した塗料は、ガイアノーツ社のガイアカラーの純色マゼンダ、クレオス社のMr.カラーのシルバー、ガンダムマーカーのリアルタッチブラウン1、そして鼻や目の周りの墨入れに同じくクレオス社のガンダムマーカーのスミ入れ用<ブラック>を使用している。メーカーもツールもバラバラだが、いずれもエナメル系塗料ではない点に注目。
プラモデルの墨入れなどでは重宝するエナメル系塗料も、ソフトビニールとは相性が悪く、いつまでも被塗面が乾かないベタベタした汚物と化してしまうので注意が必要だ。いちばんイイのは、イリサワ社のソフトビニール専用塗料Vカラーだが、アクリル系塗料やラッカー系塗料でも問題ない。ただし、シルバーやゴールドなど、メタリック塗装をしたい場合は、念のためアクリル系塗料のほうがいいかもしれない。ラッカー系塗料のメタリックも、ソフビと食い合せが悪いと聞く。君子危うきに近寄らず、だ。
ちなみにラッカー系塗料は、どれも専用のうすめ液で希釈して使うのだけど、ガイアカラーとMr.カラーは成分が同じため、どちらのメーカーのものも使うことができる。とりあえず、いずれかの特大ボトルを買っておけば安心だろう。



そして、ここからが本番だが、作業そのものは超簡単である。クレオス社のMr.ウェザリングカラーをドボドボと塗料皿に出したら、平筆でジャブジャブと荒っぽく全面に塗りたくる。それだけ。モールドの流れに逆らうように筆を走らせると、いい感じに溝に塗料が溜まっていくぞ。ちなみに今回はマルチブラックを使用しているが、それぞれ成型色に合わせてグレーやブラウンをチョイスするのもいい。デロデロと垂れた塗料がカンチャクに溜まってしまうので、バラバラに分解してから塗ることをオススメします。



で、塗料が乾いたのち、専用の薄め液を染み込ませたティッシュや綿棒などで表面を拭いていけば、それでおしまいだ。なお、今回はキツめに表面を汚したかったため、たた単にティッシュで濡れた表面をポンポンと叩いただけで、薄め液は使っていない。シルバゴンの場合、これで完成だが、モノによってはクレオス社のMr.スーパークリアーで光沢を加えたり、逆にツヤ消し仕立てにするのもいいかもしれません。
ソフビ然り、ガンプラ然り、ちょっと手を加えただけで、そのキャラクターに対する理解や愛着は深まったりするもの。オモチャに手を加えるなんて邪道と考える向きもあろうが、是非ともチャレンジしてみて欲しい。カッコいいぜ、シルバゴン!


ウルトラ怪獣500 剛力怪獣シルバゴン/バンダイ