大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

今日も戦う僕らのゴジラ


昨晩、『シン・ゴジラ』の世界最速上映があった。自分は一足先に試写会で観ることができたので、死んだような目で大量に積まれた仕事を片付けていたのだが、ツイッターのタイムラインを見ていると否定的な意見は少なく、みんな嬉しそうだ。これはひょっとすると50億円クラスの大ヒットを狙えるかもしれないし、もしかしたらファン以外からは見向きもされずに公開終了を迎えるかもしれない。さて、果たしてどちらに転ぶのか? 君にもボクにも判らぬことさ。
まあ、自分も怪獣に食わせてもらっている立場上、今回の映画が当たるに越したことはない。当然だ。ただ、一怪獣ファンとしては、そんなにゴジラに無理させないであげてよという気持ちもあったりなかったり。なんとかして次世代に受け継がなければならぬという使命感を持ったファンとは、どこか相容れないものがあるのだ。その想いは理解できるが、共感にまでは至らないといったところか。20年前のゴジラの死とともに、あの祭りは終わったのである。
もちろん、これっぽっちも衰退していって欲しい、綺麗に幕引きしてやるべきだなんて思ってはいないのだけど、今はただ分相応の落ち着く立ち位置をあてがってやりたい。別に大衆娯楽のトップになんかならなくてもいい。もう俺たちしか観なくなってもいいんだ。そのせいで安っぽくなったって構わない。あるいは、ハリウッド映画として定着するのも大歓迎。「これがヒットしなければ、あとはない……!」、そんな悲壮感に満ちた新作公開に気疲れしてしまったのよね。ゴジラもさあ、酷いプレッシャーから来るストレスでスゴい顔になってますよ?


一応、ちょっとした自分の感想も述べておくべきだろうか。決して好みのテイストではないが、充分に面白い怪獣映画として仕上がっており、少なくとも最後まで退屈することはなかった。噂の段階で想像していた絶望のビジョンは、幸いにして杞憂に終わったと思う。短期間で何度も同じ映画を観る趣味はないが、もう一度劇場の大きなスクリーンで再見するのもやぶさかではないです。
新しいゴジラのスタイルも好きになれそうだったので、年末に発売されるS.H.MonsterArts ゴジラ(2016)も予約しました。S.I.C.シリーズの仮面ライダーやパワードモンスターシリーズと並べて飾るのも一興だろう。この手のキャラクターものは転んでもただでは起きないというか、別に作品そのものが合わなくてもデザインや造形が魅力的であれば、何年にも渡って楽しむことができるところがいい。そうやって愛でていくうちに、ふとしたきっかけでフェイバリットムービーになることだってあり得る。


どこか奥歯に物が挟まった言い方に聞こえるかもしれないが、ガイガン山崎なんて名乗ってるくらいだから、俺様ちゃんの求めるゴジラ映画はチャンピオンまつり時代のそれなのだ。そこは好みだから、どうしようもない。
そもそも自分の怪獣観は、ウルトラシリーズの再放送によって形成されているため、人間VS怪獣というシチュエーションは前哨戦のように思えてしまう。自分にとって怪獣VS怪獣に勝るカタルシスは存在しないと確信しているし、人間VS怪獣であればハリウッド映画のような群獣路線のほうが好きだ。じゃあ、ローランド・エメリッヒ版のベビーゴジラのくだりがよかったのかといえば、あんな蛇足はないだろうとも思う。我ながらワガママな話だけれど、マニアとは得てしてそういうものですからね、からよ、からさ。


理想の怪獣映画、それはカラッとした明るい世界観に、最低でも3体のメイン怪獣……できればカラフルなヤツ、そして節足動物モチーフのヤツが1体は欲しい……こいつらがガツンと正面からぶつかり合い、そこにバイタリティ溢れる成人男性か真っ直ぐな少年が主人公として突っ込んでいく。これである。さらに否応なくスケール差を感じさせる、人間と怪獣の絡みがあれば言うことはない。
で、そうなると最終的に『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』と『ゴジラ対メガロ』の2本に行き着くワケです。あんまりファン受けはよくないけれど、自分の趣味嗜好にピタリ一致しているので、子供の頃から大好きな映画なのよね。ギャレス・エドワーズの『GODZILLA ゴジラ』も、かなりイイ線をいってた。こういった好みが、如何にして決定づけられていったのかは分からないが、幼少期から『ウルトラマンタロウ』のビデオを繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し観ていたことも大きく影響している気がする。『タロウ』っぽい=楽しい! そんな浅はかな人間なのです、俺様ちゃんは。虚構(ニッポンのやさしい怪獣お父さん) 対 虚構(しんきろう怪獣ロードラ)、ばんざーい!


あっ、そうそう。8月6日発売の「月刊MdN」9月号で、ゴジラのリ・デザインについての記事を担当しているから読んでみてね。
あと、「月刊ニュータイプ」8月号付録でも『シン・ゴジラ』の記事をやってます。『孔雀王 アシュラ伝説』の話題から始まる、イカ樋口真嗣×竹谷隆之インタビューも載ってるぞ。いつだって忘れない、佐川和夫は怖い人。そんなの常識!


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