大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

LV-426


懐に優しい価格設定と確かな造形力、そして重箱の隅をつつくような狂った商品展開で、全世界のマニアから熱い支持を受けている玩具メーカーNECA。その最新作が、ジェームズ・キャメロンによる『エイリアン2』初期脚本にインスパイアされたアルビノ・エイリアンだ。アルビノ・エイリアンといえば、かつてゴッド竹谷が手掛けた超絶モデルを思い出す向きも多いだろうが、白い体色はゼノモーフ特有の艶めかしさを際立たせる。
特に今回、口から大きく飛び出した触手のような舌ベロが新規造形されており、そのエゲツない造形美に目を奪われてしまった。現実に映像化されていたとして、こんな形状になったかどうかは定かではないが、これはこれで……というか、本家を上回るカッコよさじゃないか! もちろん、シャッと飛び出すインナーマウスは、エイリアンの代名詞ともいえるギミック。デル・トロの叔父貴なんかは「そこがいいんじゃない!!」と褒め称えているんだが、実はメカニカルに寄り過ぎた造形が好きじゃなかったりする。実際、H・R・ギーガーのデザイン画を見てみると、もっと生っぽい形状に描かれているのだ。
ちなみにインナーマウスの機構は、あのカルロ・ランバルディによって仕込まれたもので、レールに取り付けられたFRP製のギア付き舌が、ケーブル操作で自由に出し入れできるという仕組みだ。結局、あの直線的な造形は、こういった仕掛けを円滑に動作させるための妥協の産物だったのでは? だがまあ、今さらケチをつけたところで何も始まらない。ひとまず理想の舌を持つエイリアンフィギュアが世に出たことを喜ぼう。やったあ!


で、妙に興が乗ってしまったので、こんなこともあろうかと買ったまま積んでいたプロトタイプ・ビックチャップも開封してみた。のちに『スピーシーズ 種の起源』で透明エイリアンを実現させたギーガーは、『エイリアン』のときもビッグチャップの透明スーツを試作している。余談だが、このビッグチャップという名称は、第一作公開直後の「シネ・ファンタスティーク」の記述を参考に書かれた「宇宙船」の記事から日本に広まったもので、海外ファンにはゼノモーフ呼称のほうが通りがいいと訊いたことがある。
閑話休題。このプロトタイプ・ビッグチャップ、メイキング本などでお馴染みの着ぐるみなんだが、意外とマスプロダクツで商品化されたことはなかったんじゃないかと思う。超合金魂でエネルガーZが商品化される時代なんだから、こういうアプローチも大いにアリだ。まあ、厳密な話をすると、NECAのビッグチャップは、前述のランバルディヘッドと様々な改修を経て完成した最終版スーツを元にしているので、本来のプロトタイプ・ビックチャップにはない口周りの腱や手首の蛇腹状モールドが入ってたりするんだが、うまい、やすい、はやくはないのNECAにそんなケチをつけたところで何も始まらない。ひとまず過去の例を持たないエイリアンフィギュアが世に出たことを喜ぼう。イエーイ!


7インチ アクションフィギュア シリーズ9 エイリアン XENOMORPH(ALBINO DRONE)/NECA

7インチ アクションフィギュア シリーズ7 エイリアン XENOMORPH(TRANSLUCENT PROTOTYPE SUIT)/NECA