大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

モラル・マイナス・1


週刊少年ジャンプ』最新号に掲載された『ゆらぎ荘の幽奈さん』の巻頭カラーが、少年誌に相応しくない性描写を含んでいるとしてインターネット上に波紋を広げている。
うっかり足を滑らせた主人公のコガラシによって胸を鷲掴みにされてしまい、パニックに陥ったヒロインの幽奈がポルターガイスト現象を引き起こし、海水浴に興じていた他の登場人物もろとも水着をはだけさせながら見開きで吹っ飛ぶというくだりだ。
まあ、現代の少年マンガとして取り立てて過激な猫写ということもなく、他誌に目を向ければアイドルの水着グラビアが巻頭を飾ってるワケで、どうしてまたこのタイミングでこのマンガが? という気はしなくもないけれど、要するにこういったことが当たり前となっている現状そのものに対する異議申し立てなのだと解釈しました。


今回の騒動は、フェミニズム観点からの怒りと保護者観点からの怒りが混在しているため、ざっくりとひとまとめに語ることはできない。だが、いずれもマンガが青少年の人格形成に悪影響をおよぼす、あるいはおよぼしてきたという見解を持っているように思う。セクハラを肯定的に描くことによって、それを読んだ青少年がセクハラをしてもいいと考えるようになってしまうという理屈である。そんなにバカかなあ、男子。
確かに自分も、友人兄弟に天空×字拳やパロスペシャルを決めてきた過去を持つ。いや、未だに「呼ッ」とか言いながら三戦立ちしたりすることを考えると、マンガからの突発的な行動への影響力というものは間違いなく存在する。でも、これが人格レベルの長期的な影響まで持つということになると話が違ってくる。仮にそこまで『少年ジャンプ』を真に受けて成長するのだとしたら、スケベだけど友情と努力を重んじる勝負強い男子で溢れかえっているはずじゃないか。そう、『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』のポップのような……いいヤツじゃん。超いいヤツじゃん! 大魔導師とでも呼んでくれっ!!!


で、そんな揚げ足取りはさておき、短期的な影響だって問題は問題だ。『ハレンチ学園』におけるモーレツごっこは、スカートめくりブームの一因になったといわれている。
しかし現在の少年マンガ界において、『ハレンチ』の山岸やイキドマリみたいな色キチガイ絶滅危惧種に近い。『ゆらぎ荘』のコガラシにせよ、『ToLOVEる』の結城リトにせよ、本人にはその気がないのに、女の子たちの胸や股間に顔を突っ込んだりしてしまうラッキースケベのパターンだ。しかも大抵の女子キャラクターは、主人公に好意を抱いている。ご都合主義といってしまえばそれまでだが、ちゃんとセクハラ表現にならないような工夫自体はこらされてきたのだ。さらに今度の騒ぎを受けて、漫画家や編集部はよりこの問題に自覚的になり、良くも悪くも自主規制を厳しくしていくに違いない。
当然、それでもなお嫌悪感を抱く人は出てくるだろうし、その程度の自粛なんて作り手の自己満足に過ぎないと感じる人もいるだろう。個人的には、如何なる理由があっても表現の自由は守られるべきだと考えているが、それぞれの置かれた立場や経験によって異なる意見が出てくるのは当たり前のこと。性暴力を受けたこともなければ、子供を持ったこともない自分には想像もつかない想いに突き動かされて規制を唱えている方も少なからず存在するハズで、それを理解できないからといって安易に否定したくもない。ただ、雑な攻め方をする人間ばかり目立つのは如何なものか。


その最たるが、“子供の頃に読んでいた『少年ジャンプ』は不健全ではなかった”というもの。こんな不用意なことを呟いたら、創刊号の時点で『ハレンチ』の読み切りは載っていただの、『電影少女』はもっと際どかっただの、『聖闘士星矢』の紫龍がしょっちゅう聖衣を脱ぎ捨てるのは女性ファン向けのサービスカットだったじゃないかだの、とにかくいろんな反撃を喰らうに決まってる。そうなると本来の問題提起はどこかへ行ってしまう。実際、現在ではマニアの大喜利大会みたいなことになっており、哀れといえば哀れだが、イージーなツッコミを入れた報いといえるかもしれない。
たぶん、当ブログに足を運んでくれている人は、サブカルチャーの何某かに興味を持っているタイプがほとんどだから、この意見に反論は少ないんじゃないかと思う。自分の専門分野について適当なことを書かれたり言われたりすると、訂正せずにはいられない人種だからだ。アメコミ警察、ガンダム警察、ウルトラマンセブン警察……この界隈には、無数の○○警察が存在する。その一方で○○警察も所轄以外のこととなると、平気で迂闊なことを書いたりするから油断大敵である。特に芸能関係について、我々オタク界隈の者は脇が甘すぎる。人間だから勘違いや思い込みは仕方がないものの、何かを否定するときくらいは、きちんと対象を知ったうえで発言すべきだ。
逆に、脇目も振らず己の専門についてのみ語るという生き方もあるぞ。これはこれでカッコいい。思えば最近、自分も余計なことばかり書いている。いつからここはアイドル忖度ブログになったんだ。いかん、いかん。2017年7月9日=33歳の誕生日を期に、普通の怪獣博士に戻ります! 名前、オカリヤン! 種別、笛吹き怪獣! 身長、57メートル! 重さ、4万4000トン! 能力、強いアゴ!! 名前、オニデビル! 種別、鬼超獣! 身長、57メートル! 重さ、3万1000トン! 能力、ツノからショック光線を発射!!



リボルテックタケヤ007 ゲゲゲの鬼太郎 目玉おやじ/海洋堂