大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

一日一超獣(バラバ)


地球の馬鹿ども、ご機嫌よう。1週間ぶりとなった「一日一超獣」は、殺し屋超獣バラバ。剣! 鎌! 鉄球! 異次元科学によって武装強化された怪獣=超獣という基本コンセプトに、極めて忠実なデザインと言えるだろう。
さて。ちょっと古い話になるが、自分のペンネームの由来にもなった未来怪獣ガイガンは、数多の超獣と同じく井口昭彦の手によるデザインだと言われていた時代があった。まあ、もうちょい厳密な話をするならば、よりにもよって水木しげるがデザインしたという素っ頓狂な説もあったワケだが、井口説を信じている者は非常に多かった。恥ずかしながら、自分もそのひとりだ。真のデザイナーである水気隆義が自ら名乗り上げるまで、ほとんどのマニアが、ガイガンを井口作の怪獣だと思い込んでいたのである。


もちろん、その最大の理由は、各種書籍や関係者の口から断定的に語られていたからに他ならないのだが、ガイガンもまた超獣と同じくデコラティブで攻撃的なデザインだったからこそ、誰もが納得してしまったのだ。しかしガイガンのように、ダイレクトに武装した怪獣としてデザインされた超獣って、実はバラバくらいしかいなかったりする。
たとえばベロクロンの口内カタパルトは、井口のデザイン画には描かれておらず、どうやら造型段階で付け足されたものだったようだし、カメレキングの腹部ノコギリも、意外性を狙って背びれを前に持ってきたものであって、あくまでもデザインの意図としては武器ではなかったのだという。普通に考えたら、デストロン怪人やメカザウルスみたいなことになりそうなものなのに、そうはならなかった。そこが超獣デザインの面白いところだ。
では、どうしてバラバだけ武器を持っているのかというと、これは単純に“殺し屋超獣”なる物騒な肩書からのイージーな連想だったのではないかと思われる。結果としてバラバは、異端でありながら王道という稀有な立ち位置を手に入れることとなった。ちなみにデザイナーは、先ほどから名前の挙がっている井口ではなく、鈴木儀雄である。


鈴木と井口の作風の違いについての解説は、また別の機会に譲ろう。ラストは、恒例の着色解説だ。バラバは渋いカラーリングなので、これまであまり使ってこなかった塗料が多い。まず基本の紫色部分は「NAGGAROTH NIGHT」、角や爪などの紺色部分に「STEGADON SCALE GREEN」、武器の銀色部分にクロスシルバー、黄色い目にカメレイエロー、牙にギロン人ホワイト。ウォッシングは、いつもの「NULN OIL」に加えて、目に「CASANDORA YELLOW」、武器と牙に「DRAKENHOF NIGHTSHADE」を使っている。なお、今回は妙にテカリが目立つ仕上がりになってしまったため、つや消しトップコートを吹いたのち、クレオスのスーパークリアーIIIで目のみ光沢を加えてみた。
あまりにも紫が濃過ぎたこともあって、これは全面的に塗り直さないと駄目かしらとも思ったが、最終的には劇中の雰囲気に近しい雰囲気に落ち着いて安心した。途中で不安を覚えても、自分の直感を信じて塗り続けることが、スピードペインティングにおいて最も重要なポイントかもしれない。ではまた明日、地球の馬鹿どもめ!