大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

ほぼ一日一怪獣(ベノム)


もう潰れてから随分と経つが、近所に小洒落たアメリカ雑貨屋があった。キャプテン・アメリカのサーフボードが目印の、アメトイやコミックブックも取り扱っている店だった。小学生4年生の頃、それまで素通りしていたにも関わらず、何かに惹かれるように入店。そこで目に飛び込んできた真っ黒な怪人に一目惚れしてしまった。そいつの名はベノム。


親切な店員の兄ちゃんは、未来のお得意さんにベノム誕生のあらましを語ると、入り口脇に置かれていたブリキ製バケツをひっくり返して、無数のコミックブックの中からベノムの活躍する『AMAZING SPIDER-MAN』誌を何冊か見繕ってくれた。一瞬、英語が読めないからと尻込みしたが、「英語が読めなくてもカッコいいことは分かっただろ?」という言葉に後押しされた。今になって思うと、実にいいアドバイスだ。本質を突いてる。


X-MEN』のアニメやゲームが登場する数ヶ月前のことだ。当時、自分の周りでアメコミの話が通じるような人間は、ほとんどいなかった。まあ、ほとんどというところがミソで、それでも物好きな子供は学年にひとり、ふたりはいるものなのだ。中学校に上がる頃には『SPAWN』ブームの影響もあり、数名の友人とともにフィギュアを買い漁った。世はまさに激レア激ヤバ即ゲット時代、例の雑貨屋はちょっとした穴場だったのである。


しかし、ブームには終わりがやってくる。あんなに盛り上がっていたはずなのに、いつしか誰も『SPAWN』に見向きもしなくなり、あの雑貨屋も潰れてしまった。自分にできることといえば、それでも細々と続いていた邦訳コミックを買い支えるくらいのもので、誰かとアメコミの話をすることもなくなった。『スパイダーマン』や『ブレイド』の映画は傑作だったが、映画は映画。その人気が、コミックまで飛び火することはなく……。


そう考えると一ヶ月に何冊もコミックが翻訳され、様々な国内メーカーからフィギュアが発売されている現状は喜ばしい限り。いつかまた寂しい状況に逆戻りすることは間違いないが、ひとまず今はそこら辺の兄ちゃん姉ちゃんが、サノスだロキだとヒートアップしている不思議な事態を見守っていこう。そんなウォッチャー気取りの今日この頃なのです。


アメイジングヤマグチ003 ヴェノム / 海洋堂