大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

ほぼ一日一怪獣(ゼイラム)


雨宮慶太の初劇場用作品『ゼイラム』には、とある懐かしい光景が登場する。「ステレオ」「ファクシミリ」などと大きく書かれた看板、陽のあたる場所に構えられたジャンクパーツの露店……そう、まだ高架下くらいにしか飲食店がなかった頃の秋葉原だ。自分も少年時代、父親に連れられて何度となく足を運んだ思い出深い街並みである。


禁断の生物兵器ゼイラムとの戦いで必要となる転送機に使用するパーツを手に入れるため、秋葉原の電気街へとやってきた女賞金稼ぎのイリア。その姿を目に止めた配電線工事業者の神谷は、まるで吸い寄せられるように彼女のあとを追ってしまう。
何故か? それはもちろん、イリアが類稀なる美貌の持ち主だったから。さらに地球人の感覚からかけ離れた、奇異なる格好をしていたからだ。そもそも当時の秋葉原では、彼女のような若い女性が歩いていること自体が珍しかったような気もする。


つまり現代の秋葉原だったら、その景色にイリアは埋没してしまい、何のドラマも生まれなかったに違いない。いや、それどころか完全に観光地と化した秋葉原で、転送機のパーツなんて見つかるだろうか? 地球の命運は、ヨドバシAkibaの品揃えに懸かっている……。ノーモア メイド喫茶、カムバック電気街! 溶けていく果てぬ地平線!!


ゼイラム ZEIRAM from the movie "ZEIRAM" / 海洋堂