大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

ほぼ一日一怪獣(ゴジラ2016)


シェイプ・オブ・ウォーター』は、もしもジュリー・アダムスがギルマンに振り向いてくれていたら……という幼き日のギレルモ・デル・トロの願いから発想された映画だったというのは有名なエピソードだ。もちろん、オリジナル版『キング・コング』がそうであったように、『大アマゾンの半魚人』もモンスターの悲恋を主題に置いた作品ではない。あくまでもモンスターパニック映画であり、ある種の人間が“そこ”に秘められたペーソスを読み取るというだけのこと。モンスターとは、生まれながらにして敗北を運命づけられた哀れな存在であるからして、彼らに肩入れしてしまう人間も少なからず存在するのだ。あのビッグチャップですら、脱出艇から放り出された姿は同情を誘う。今でもヤツは宇宙空間を漂っているのだろうか? もっとも『エイリアン』は、ずっと未来の話だが。


で、ここ数年で最も可哀想に感じたモンスターは何だったかなあと考えたところ、それはシンゴジだった。劇中では完全生物などと説明され、なんとも恐ろしげなルックスで猛威を振るっていた彼氏だが、あくまでも作品のリアリティラインの高さに担保された強さであって、歴代ゴジラでは中の下くらいの実力であろう。噂のヤングエリート集団あたりが出張ってきたら、ひとたまりもなかったに違いない。
まあ、単一個体での適応進化なんて聞こえはいいけれど、要するに進化しなければ二本足で立つこともできず、熱線を吐いたら2週間もオネンネという体たらく。そんなミニラみたいなヤツをみんなで寄ってたかって……。*1 一応、ラストに第5形態、第6形態と進化していく兆しを見せていたものの、下手に群体化して米国なんかにちょっかいを出したら、ロック様とかマーク・ウォールバーグにボコボコにされるのが目に見えている。ギルマン然り、シンゴジ然り、モンスターなんてものは、水の底で静かに暮らしてるのがいちばん幸せなのかもしれないね。おもろうて、やがて哀しき怪獣人生ってか。*2


S.H.MonsterArts ゴジラ(2016)/ バンダイ

*1:しかも最後はツキにも見放されて、たまたま線路に足を踏み入れたところに待ってましたと無人在来線爆弾雨あられ。もうちょっと後半に見せ場があっても罰は当たらないよなあ。シンゴジの〜、ちょっといいとこ見てみたい! はい、イッキ! イッキ! イッキ!(ヤシオリ作戦

*2:“ほぼ”すら維持できなくなってきたので、これにて連載(?)を終了させていただきます。