大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

『我が家ファイト』撮影記 Vol.4

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1月27日、日曜日。この日も朝5時過ぎにメラーノ(@samuhara)邸を出発した我々は、浜辺に三脚を立てて日の出を待っていた。バラモンキングが夕日に向かって佇む、『我が家ファイト』のラストシーンを撮るのだ。まあ、本来なら日の入りを狙って撮るべきくだりなんだが、西から昇ったお日様が東へ沈むのは『天才バカボン』の主題歌くらいであって、大原の海水浴場すなわち太平洋で撮れるものではない。要するに、朝焼けを夕焼けに見立ててしまおうということ。偉そうにディレクターズチェアなんてものに腰掛け、外部モニターを覗き込む自分の隣では、助監督の清洲昇吾(@KossetsuJiru)くんも、自前のカメラを構えていた。『我が家ファイト』のついでに、汎用性の高い映像素材も残しておこうという腹積もりである。こういうタダで使える素材は、あればあるほどいい。


その後、謎の“いい画撮るマン”と化した清洲くんは、水平線や波しぶきを収めるために何処かへと去っていってしまったけれど、助監督不在でもなお撮影は快調そのものだった。海は風が強く、その風には塩分が含まれているため、機材や着ぐるみへのダメージも大きい。そこで4本分のアイデアを2本のエピソードに統合することで、海辺での滞在時間の短縮を図ったんだが、そうなると当然、現場でのアドリブ的演出が増えてくる。しかし撮影2日目ということもあって、誰もが最小限の指示でキビキビと動いてくれ、こちらは考えることに専念できた。また、キャストが自らアイデアを提案してくれることもあり、こんなにちゃんとした現場を構築できたのは生まれて初めてかもしれない。結果、昼までに2本分きっちり撮り終えることができた我々は、再び国府台の山中へと向かうのだった。


最後の撮影は、豊富な技を持つジョルジュ星雲人と力自慢のウイップ星人のタイマンバトル。ひたすら戦い続けるのみのシンプルな筋書きだが、だからこそ撮っておきたかったエピソードでもある。しかも2日間の撮影を通して、それぞれの怪獣に個性とでも呼ぶべきものが備わりつつあり、決して無味乾燥なアクションのみには終わらないという確信めいた想いがあった。『ファイト』が撮れる自信があった。ひたすら暴れまくる狂犬のようなバラモンキング、とにかく力で押しまくる脳筋のウイップ星人、試合巧者に見えて咄嗟の事態には対応できないジョルジュ星雲人……といった具合で、特にジョルジュ星雲人のキャラクターは、おそらく床山皇帝(@Kaisel_Kaiser)が演じ続けていただけでは生まれてこなかったものだろう。この嬉しい誤算のお蔭で、『我が家ファイト』は笑顔のうちにクランクアップ。秋になって怪獣が増えたら、またこの地に赴くつもりだ。(おわり)