大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

月とスポーン


SPAWNブーム華やかなりし頃、日本の玩具メーカーも負けじとリアル路線を邁進していた。ガレージキット並の、という惹き文句が誇大広告でなくなってきた時代だ。この延長線上に現在の美少女フィギュア文化があると言っても過言ではなく、クリーチャーなんかにゃ興味のない秋葉原の豚(悪口ではない念のため)な諸君も、トッド・マクファーレンには足を向けて眠れないんだからな! と意味もなく牽制したところで本題に移ろう。


当時、新たな潮流として注目を集めていたのが、SPAWNばりのハードアレンジを昭和のヒーローたちに施したフィギュア群だ。もちろん、こういったアプローチに前例がなかったワケではないが、それこそガレージキット模型誌の作例に限ってのことであり、街のおもちゃ屋さんで手軽に買えるようなシロモノではなかったのである。アート・ストームのMAZINGER1901シリーズも、そんな流れで誕生したもののひとつ。バンダイS.I.C.シリーズと並んで人気の高かったフューチャーモデルズのDEVILMANシリーズと同様、韮沢靖の手によるリ・イマジネイションが大きなウリとなっていた。同門のゴッド竹谷が石ノ森ヒーローならば、韮ドンはダイナミックキャラクターということだろう。まあ、実際にはゴッドがデビルマンを作ったり、ドンが仮面ライダーを作ったりすることもあったけれど、あくまでもマスプロダクツでの話だ。


MAZINGER1901シリーズは、第一次世界大戦を13年後に控えた1901年のヨーロッパが舞台という変わったコンセプトのシリーズで、MAZINGER、AFLODAI、GARADAの3体がリリースされたところで打ち止め。その後、5年の沈黙を破る形で2007年に合金玩具として、BOSSBOROTとDOUBLASの2体が発売された。俺のお気に入りは、機械獣ダブラスM2をモデルにしたDOUBLAS。両腕をカギ爪から回転ノコギリや巨大ドリルに換装できるギミックも楽しく、もう何年も作業机の上に飾っている。ABSとPVCの経年劣化も激しいので、お手頃な価格であれば予備を落札したいくらいだ。そうすれば、両腕を回転ノコにすることもできる! ドリルは男の浪漫と言うけれど、ガイガン山崎としては回転ノコのほうが圧倒的にイエスなのである。ノコギリ・イズ・マスターピース


で、マジンガーファンには常識だが、『マジンガーZ』第1・2話に登場する機械獣ガラダK7とダブラスM2は、それぞれ石川賢永井豪がデザインを担当している。賢ちゃんといえば、豪ちゃんが「イシケンは、ホントに骸骨が好きだったなあ」としみじみ呟くほどのスカラー(造語)であり、刃物を生やしたドクロというガラダK7は、その真骨頂とも言えるキャラクターだ。そのため、韮沢タッチとも相性抜群……のハズなんだが、前述のGARADAはいまいちインパクトに欠けるところがあった。
要するに『ゴジラ FINAL WARS』におけるガイガンと同じ現象が起きているのだ。どこかパンキッシュなガイガンもまた、オファーする側の意図がビンビン伝わってくるほどの親和性の持ち主だったが、やはり想像の範疇を超えるものではなかったというのが正直な感想だったりする。もちろん、ちゃんとカッコよく仕上がっているのは大前提での話だ。


まあ、はなからカッコいいものをカッコよくする作業なんだから、あんまり個性はかち合わないほうがいいのかもしれない。だから、ガイガンよりはメガロやチタノザウルスを宛てがったほうが面白いものになったかもしれないし、実際にスカル全開な賢ちゃん案件よりも豪ちゃん案件の機械獣やデーモンのほうがカッコいいものに仕上がったと。それはそれとして豪ちゃんだって、充分にスカルモチーフが好きな気はするけどね。そこはつまりやっぱりドクロを嫌いな人なんかいないってことですなあ。納得、納得。えー、これでちゃんと話がオチてるのか怪しいところもあるけど……ジャッ!


MAZINGER1901 EX合金 DOUBLAS/アート・ストーム