大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

特別展 恐竜図鑑 | 失われた世界の想像/創造


近ごろ、愛犬の体調がすこぶる悪く、ほとんど寝たきりでいつ死んでもおかしくない状況であるからして、なかなか外出できない感じなんだが、なんとか滑り込みで行ってきた。
まだ恐竜が尻尾を引きずっていた「旧復元」時代の古生物美術を中心とした展示会で、これを見ずして夏は終われないって感じだ。1984年生まれの自分は、いわゆる「恐竜ルネッサンス」以降に生を享けた人間だけど、『ジュラシック・パーク』が公開されるまでは旧復元のほうが一般的であり、裏を返せば尻尾を引きずる恐竜にノスタルジーを覚える最後の世代といえるかもしれない。*1 つまり身体を水平にして尻尾を浮かせた姿のカッコよさも分かるし、逆に引きずってる姿もカッコよく思えるラッキーな世代なのである。もちろん、毛が生えていたって構わない。ここら辺、頑なになればなるほど損だからね。

で、20世紀に描かれたチャールズ・R・ナイトやズデニェク・ブリアンの作品なんてのは、我々世代にとっても馴染み深いもので、懐かしいなあカッコいいなあと胸を躍らされたんだが、それ以上に衝撃を受けたのが、骨格もまともに揃っていない時代に制作されたエトセトラだった。かの有名な水晶宮のイグアノドンをはじめ、ほぼほぼ想像で彫刻され描かれたものだから、もはや恐竜というよりも怪獣なのだ。また、誤解を恐れずに書くならば、絵が全然うまくないところもいい。ジョン・マーティンという画家に関しては宗教画でも有名だそうだが、たまたま恐竜を描いたから200年も残っちゃったんだろうなというラクガキレベルの画も多く飾られており、これがまた構図や色使いに隙がない近年の恐竜画にはない迫力があった。ノコギリンみたいな目のイクチオサウルス、なんか夢に出てきそうだもんな。70’s開米造形に通ずるものがありましたよ、うん。(所要時間9分)

*1:子供の頃、祖父によく買ってもらった大英自然史博物館の恐竜シリーズも、やはり旧復元図に準拠した造形であった。余談だが、藤子・F・不二雄の仕事場には、同シリーズのブラキオサウルスが飾られており、尊敬してやまない巨匠と同じものを持っているという事実に震えたものだ。