大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

うれてくれ!


新番組『ウルトラマンブレーザー』が始まった。一言でいえば意欲作。これまでのニュージェネレーションシリーズとは打って変わって、ウルトラ戦士のタイプチェンジを廃止しての新怪獣ぞくぞく登場路線になっており、円谷プロバンダイも、そしてもちろん、パイロットを担当した田口清隆監督も大博打に出たなという印象だ。まあ、よっぽど『ウルトラマンZ』が売れたんだろう。一種の保険なのか、メダルっぽい連動アイテム*1 や味方側のロボット怪獣のDX玩具もラインナップしつつ、あくまでメインは新怪獣のソフビのように見受けられる。我々が幼児園児だった頃は、どの友達の家にも怪獣ソフビが10体、20体くらい当たり前のようにあったものだけど、いつの間にかヒーローしか興味のない子ばかりになってしまった。実際、ローカルヒーローは数あれど、ローカル怪獣なんてウチくらいしか作ってないのだから。で、そんな時代に怪獣で勝負に出たわけだ。決して大袈裟な話ではなく、ウルトラ怪獣の運命が懸かった一本である。絶対に失敗はできないし、させられない。自分も微力ながら、全怪獣のソフビを予約注文させてもらった。

さて。肝心の第1話がどうだったのかというと、前述のとおり意欲は伝わってきたが、良くも悪くも作家性の強いフィルムで、『ウルトラマンX』や『Z』のときのような鮮烈な感動は得られなかった。でも新怪獣のバザンガに関しては、ただ出てきただけになりがちな1話怪獣にあって、充分に爪痕を残せていたと思う。ネロンガよろしく回転する触覚もさることながら、妙に後を引く鳴き声もよかった。ブレーザーも悪くない。先住民族の狩猟とムエタイを掛け合わせたような戦闘スタイルにも新鮮味があったし、もはや奇声といっていい掛け声はインパクト抜群だ。ストーリーらしいストーリーがなく、同じような画がずっと続くので、*2 どうしても冗長に感じてしまう部分もあったんだが、あの声と動きで一度切れた集中力が戻ってきた。きっとゼットのように、みんなから愛される主役になるんじゃないでしょうか。まあ、第2話の予告を観る限りでは、このイカニモなテイストがずっと続くわけではなく、いわゆる“普通のウルトラマン”にスライドしていくことがうかがえるので、むしろそこに期待したい。結局、“普通のウルトラマン”が一番面白いのだ。あとは、どの時点の普通にまで立ち帰ることができるかだろう。(所要時間11分)


ウルトラ怪獣アドバンス / バンダイ

*1:ウルトラメダルが売れたのだとしても、それは『Z』人気に因るものであって、メダルというフォーマットそのものに魅力があるわけではない気もするんだが……。

*2:たとえば警官隊の避難誘導も虚しく、車道も歩道もなく逃げ惑う街の人々。そして乗り捨てられた車、車、車みたいなシーンが挟まったりすれば、わざわざ街中で自由降下する意味も見えてくるし、(ナイトシーンが続くことに変わりはないものの)絵面にも変化があってよかったんじゃないかと思うが、そんなものを撮る予算がないことも分かるのだった。今回は一棟でも多くビルを壊すほうが重要だ。