大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

忍者怪獣でござる


日本人よりも外人のほうが愛している日本ならではの存在といえば、何といっても「忍者」が真っ先に思い浮かぶ。『デアデビル』や『ARROW / アロー』のように、わりと現実に寄せたリアリティラインで進行していたアクションドラマにも、何のエクスキューズもなく現代に生きる忍び集団が登場するため、当の日本人としてはこれをどう受け止めていいものか当惑することもあったりなかったり。
もちろん、原作コミックに則っているといえばそれまでだが、さすがに実写では無理があるということで、気の利いたアレンジができないこともない部分だ。つまり彼らにとって忍者は、そこまで突飛なものではないということかもしれない。もしくは我々が知らないだけで、本当にヤクザと忍者は繋がっているのかもしれない。本気になったヤクザは、突っ走る新幹線の上でウルヴァリンと戦えるのかもしれない。


一方、日本の特撮ヒーロー番組でも、ウルトラシリーズスーパー戦隊シリーズなどのリアリティラインが低く設定されている作品には、当たり前のように現代の世で忍者が現れる。しかも遥か宇宙の彼方からやってくることも珍しくなく、ここはオリジンの面目躍如といったところか。で、そんな宇宙由来の忍者キャラクターの代表格といえば、フォッフォッフォでお馴染みの宇宙忍者バルタン星人。その異名の発案者は不明だが、実際のところは分身の術くらいしか忍者らしいところはない。
またバルタンのみならず、忍者怪獣ドロゴン(姿を消す)にしろ、忍者怪獣サータン(姿を消す)にしろ、宇宙忍獣Xサバーガ(分身、土遁、畳返し)にしろ、忍者らしさはルックスではなく能力にのみ見出すことができる。ヘドラに至っては、どこが忍者怪獣なのかサッパリだ。やはり怪人とは違い、怪獣は動植物以外をデザインモチーフにすることが難しく、きちんと姿かたちまで忍者らしい怪獣となると、忍び装束をモチーフにした忍者怪獣シノビラーくらいしか思いつかない。


その点、忍者超獣ガマスは、蘭の花と宇宙怪獣を合成することで誕生した超獣でありながら、デザインモチーフ自体は忍者と縁が深い蝦蟇をチョイス。さらに“身体に兵器を携えたサイボーグ怪獣”という超獣の特性を活かし、手裏剣やマキビシ、短槍といった武器を使って戦うのだから、忍者的に超ポイント高い。この時代の怪獣に許される、かなりギリギリのラインまで忍者に迫った忍者怪獣界の優等生である。
ちなみにくノ一超獣ユニタングは、身体をバラバラにされても元通りになるという、忍者は忍者でも山田風太郎の世界に片足突っ込んだ能力の持ち主だ。おそらく女に化けているストーリー展開からの命名であって、あまり意味はないのだろう。しかし、いずれにせよ忍者が外人だけでなく、異次元人にも愛されていることは間違いない……何なのこの結論? まあ、新発売のガマスに引っ掛けて、なんとなく忍者の話がしたかっただけなんです。あっ、今月末に自分もお手伝いさせていただいた『手裏剣戦隊ニンニンジャー公式完全読本』が出まーす。買ってね。


怪獣天国 忍者超獣ガマス(3期)/メディコム・トイ(マーミット)