大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

リングに絡まる蜘蛛の糸


フランク・ミラーとジェフ・ダロウによる『ザ・ビッグガイ&ラスティ・ザ・ロボット』が、本国での発表から二十ン年を経て初邦訳化された。
遺伝子実験によって生まれた大怪獣に支配された東京を解放するべく、鉄腕アトムをモチーフにしたと思しきロボット少年ラスティと、同じく鉄人28号をモチーフにしたのであろうビッグガイが奮闘するというストーリー。ミラーらしい悪意に満ちており、ダロウの執拗な描き込みも存分に楽しめる一冊となっている。
いずれの著者もビッグネームであり、しかも日本が舞台となっているだけあって、これまで何度となく雑誌などに取り上げられてきた作品だ。一応、あちらではTVアニメ化もされていて、バンダイアメリカからオモチャが発売されている。アメコミファン、洋トイコレクターにとっては、そこそこ馴染み深いタイトルのひとつだと言えるだろう。


だから自分にとっても初めて読む作品ではなかったんだが、今回なんとなく気になったのが怪獣のデザインだ。
愛嬌を欠片も感じさせない面構え、ゾウを彷彿とさせる太ましい脚、いずれもアメリカ人らしいデザインアプローチ。それでいて『ウルトラマン80』や『ウルトラマンダイナ』辺りだったら、特に違和感もなく登場させられそうなルックスでもある。そういう意味では、ちゃんと“怪獣”になっていると思う。
ただ、どうして彼らは、恐竜型のモンスターに副腕を付けたがるんだろう?


副腕って、着ぐるみベースで発想する日本の怪獣デザイナーからは、あまり出てこないタイプのパーツではなかろうか。まあ、ベムラーみたいな処理をすれば、着ぐるみでも表現できないことはないだろうが、『パシフィック・リム』のナイフヘッドも胸から副腕を生やしていた。着ぐるみを意識してデザインしていたのであれば、文字通り蛇足だったかもしれない。しかし、それでも生やした。そこに何か意味があるような気がしてならない。
もっともナイフヘッドの副腕に関しては、コンセプトアートを担当したウェイン・ダグラス・バロウの手癖という可能性もあるんだが、エイリアン・クイーンやクローバーにも副腕があった。もうちょっと考えれば、いくらでも他の例が出てきそうだ。ひょっとしてタコをデビルフィッシュと呼んで不気味がっていることと関係あるんだろうか……。あっ、特に結論とかありません。不っ思議〜。ただそれだけの、そういうお話です。