大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

甘えん坊の羊は眠れ


東映特撮ニコニコおふぃしゃるで『巨獣特捜ジャスピオン』の配信が始まった。あまりこの手のサービスには関心がないんだけど、『ジャスピオン』だけは別腹。これもいい機会だからと、毎週水曜20時の更新を忘れないようにしている。まあ、いい機会もクソもなく、しょっちゅう一から観返してる気もするんだが、とにかく別腹だからいいのだ。
じゃあ、何が魅力かというと、それはもう圧倒的にビジュアル……というか、実はビジュアル以外で特に惹かれているところは何もない。ジャスピオンやアンリ、あるいはマッドギャランらのキャラクターに殊更魅力を感じるということもないし、宇宙刑事シリーズと比べてストーリーがどうとか音楽がこうみたいなこともなかろう。良くも悪くも、いつもと一緒である。ただ、上原正三が好んで用いる主人公の内輪話(父親捜し、母星の再興、etc.)が苦手なので、そういった要素が希薄なところは気に入っている。



ビジュアルの魅力というと、まず野口竜村上克司の描く怪獣=巨獣という世にも珍しいシロモノに目が行きがちなんだが、主役のジャスピオン周りのデザインも冴えてるんだよね。リアルタイム世代は、どうしても第1作目の衝撃に引っ張られがちだし、シンプル・イズ・ベストなどという言葉もあるため、メタルヒーローでいえばギャバンのスーツが一番好きだという人が多いかもしれない。だが、後追い世代の自分からすると、ギャバンシャリバンシャイダーのいいとこ取りで、過剰にディテールが盛り込まれた強化ジャスピオンのほうがカッコよく見えるんだな。昨年春に発売されたS.H.Figuarts ジャスピオンも、メッキ仕立てでないところを除けばイイ感じだ。なお、バックパックを塗ったり、腹部のスジ彫りを強調すると、もっとイイ感じになるぞ。さあ、あとで売れなくなるとかみみっちいことを考えてないで、塗った塗った!


で、肝心の巨獣だが、ハッキリ言って珍味である。みんな大好き東宝特撮やウルトラシリーズの甲な怪獣に対する、乙な怪獣。なんだかんだでチャンピオンまつり期のゴジラ怪獣も、映画でメインを張れるだけの格のようなサムシングが感じられるし、『ウルトラマンタロウ』でもモチロン級にふざけた怪獣はモチロン以外に存在しない。しかし巨獣たちは、そんな壁を易々と超えてくる。コック帽を被ってたり、背中から卒塔婆が生えてたり、頭がヘリポートだったり要塞だったり、それでいてちゃんとカッコいいんだから、野口先生の天才性たるや……。もちろん、普通の巨獣もいるんだが、やっぱり描いてる面子が面子なので、ワン&オンリーの魅力を放ってる連中ばかりなのだ。
その特殊性はデザインだけでなく、鳴き声ひとつ取ってもゲボを吐いてるオッサンみたいだったり、何から何までズレてる。他の東映ヒーロー番組とは違い、パイロットフィルム以外でも特撮研究所が稼働しており、きちんとミニチュアセットも組んでたりするんだが、ビックリするほどワイヤーワークが雑! いや、アイアンウルフとジャルド・ブーマのドッグファイトなんかは悪くないの。時代と予算を考えれば、充分に凝ったことをやっていると思う。でも巨獣が吹っ飛ばされたり、突っ込んできたりするときの、とりあえず吊ってぶん回してみました感がたまらん。最高過ぎる。要するに、これらはJACの領分なんだけど、スタントマンも怪獣芝居に慣れてないもんだから、ダイレオンのパンチを捌いてみせたり、急に裏拳を打ち込んだり、他の作品ではお目に掛かれない怪獣アクションが満載なんです。あのアンタレスだって、そんなテクニカルな戦い方はせんぞ。



さて、俺はもうン十年も怪獣漬けで生きてきたせいか、もはや普通の怪獣ではピクリとも反応しなくなってしまった。そんな怪獣インポもビビンと来るのが『巨獣特捜ジャスピオン』! そうだ、他の特撮番組も『ジャスピオン』につづけ。『ジャスピオン』に並べ。そして『ジャスピオン』を超えろ! たぶん、誰もついてこれなくなるけども!


S.H.Figuarts ジャスピオン/バンダイ

GC-29 DX超合金 ダイレオン/バンダイ