大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

すごい暴力で守ります!


殴れ! 殺し合え! 怪獣皆敵、一日一レッドファイト! これまでマタギだベルクマンの法則だと、レッドマンの戦いを面白半分で肯定してきた当ブログだが、ついにシリーズ最大の問題作であるところのウー&カネゴン戦が配信されてしまった。どちらも元を辿れば人間という凄まじいタッグ! 当時のスタッフは、特に何を考えることもなくチョイスしたのであろうが、まさしく神のいたずらとしか言いようのないミラクルが発生している。


もっとも、この手のマッチメイクは『レッドマン』において少しも珍しいことではない。ザウルスにステゴン、ケンタウルス星人、そしてよりにもよってミステラー星人(善)と、原典では退治されなかった怪獣、宇宙人が目白押しだ。
しかしまあ、ステゴンはウルトラマンに爆殺されなかったのが不自然なくらい犠牲者を出していたし、一見するとブロントサウルス型のザウルスも肉食恐竜。MJ隊と遭遇した個体が、たまたま温厚な性格だったというだけだろう。
それは宇宙人にしても同じことで、そもそもケンタウルス星人は怪獣グラナダスを操る凶悪な侵略者であり、広田あかねに変身した同胞の裏切りを経てもなお地球侵略を諦めていなかったのだ。実際、グラナダスもレッドマンと一度戦っている。また、ミステラー星人も銀河系で最も好戦的といわれる民族だった。元宇宙戦闘隊エースとよく似た風貌だが、彼と同じように地球に亡命してきたミステラー星人は、他にも存在したということか。もしかしたら元エースの同僚か部下だったのかもしれない。しかしこちらは隠遁するどころか、怪獣とともに暴れまわっている。これはもう、レッドファイトするしかなかろう。


では、肝心のウーとカネゴンのほうはどうだろうか。
初代ウーは、雪ん子と呼ばれる少女の母親の霊が化身したとされている。二代目ウーも、超獣アイスロンに襲われた娘の小雪を助けるため、囮となって崖下に落ちた父親の魂が蘇ったもの。いずれも善意の怪獣だったが、すべてのウーに当てはまる特徴と結論づけるのは早計だ。怪獣星でウルトラセブンや怪獣たちと日夜戦いに明け暮れていたウーは、名うての喧嘩屋だったのだから。つまり現世に未練を残して逝った者が、雪山を触媒として(?)ウーに転ずるとするならば、悪霊のようなウーが存在したとしても不思議ではないのである。悪霊には十字架、レッドアローがよく似合う。
そして、カネゴン。『ウルトラQ』に登場した加根田金男は、謎の祈祷師の予言通り、工事現場のヒゲオヤジを逆立ちさせることによって人間に戻ったものの、その両親はカネゴンになったまま。ひょっとするとウーとともに串刺しにされたのは金男の父、あるいは母だったかもしれない。そう考えると残された家族が不憫に思えてくるが、冷静になって欲しい。あれは身長40m近い、巨大カネゴンなのである。名著『ウルトラ怪獣入門』によると、人間大のカネゴンでも生命を維持するためには1日3520円のコインが必要だという。空腹に耐えかねた金男は銀行を襲撃していたが、このビッグサイズのカネゴンが腹を減らして街に出現したらどうなっていただろう。下手したら、国が傾く。しかも人間としての理性を失っており、唸り声をあげてテレポートまでしてみせたのだから、ジャミラ並にタチが悪いと言えるかもしれない。まあ、エンペラ星人率いる怪獣軍団の会計本部を任されていたカネゴンもいたことだし、元人間だからと依怙贔屓していては守れる平和も守れまい。やはりレッドファイトしかないだろう。


ところで以前、『レッドマン』の舞台がどこかは分からないと書いた。“赤い星から光に乗ってやってきた”というくらいだから、地球であることは間違いない。また、怪獣よりも大きな樹木が生い茂り、水田やタイヤのようにも見える巨大なオブジェが確認できることから人里離れた未開の地、あるいはメタフィールドのような異空間を想像していたんだが、コダイゴンがしょっちゅう出現しているということは長野県なんじゃないの? 首都圏からそう離れていない山奥に、あんな大量の怪獣が潜んでいたとは……。あのままカネゴンが都市部に降りていたら、ながぎんこと長野銀行も破産していたに違いない。ありがとう、レッドマン! やったーカッコイイ――――



帰ってきたウルトラ怪獣名鑑/バンダイ

ウルトラ怪獣戯画/バンダイ