大怪獣まんだら

GIGAN YAMAZAKI & WAGAYA FACTORY's blog

ほぼ一日一怪獣(ネオザルス)


当ブログのプロフィール欄に書かれた「超獣紋太郎 何処へ行く」なるフレーズは、『ミラーファイト』の一篇「怪獣紋太郎 何処へ行く」のもじりだ。三度笠と道中合羽を身にまとい、長楊枝をくわえて孤独な旅を続けていた“怪獣紋太郎”こと恐竜アロザ。その道すがらで出会ったザイラスとノアに助けを請われるも、「あっしには関わり合いのないことでござんす」とまったく取り合わない。すると逆上した2匹は……という『ミラーファイト』らしい他愛のないエピソードで、元ネタは言うまでもなく『木枯し紋次郎』である。


紋次郎といえば、中村敦夫の当たり役として有名だが、個人的には学生時代に観た菅原文太主演の劇場版も印象深い。ヒーローとしての木枯らし紋次郎のシークレット・オリジンにあたるストーリーで、とにかく人のいい彼は行く先々で騙され続ける。仲間に裏切られ、兄弟分に裏切られ、最愛の人にまで騙されていたことを知ったとき、ついに人間を信じられなくなり、あの一世を風靡した捨て台詞を絞り出すように呟くのだ。「あっしには……関わり合いのねぇことでござんす」と。もう泣き崩れる女を振り返ることもない。


善人が報われるとは限らない、悲しいお話である。まあ、渡世人が善人かどうかは意見が分かれるところだろうが、ちょうど1年くらい前に出家した“あの子”も画期的にいい子だった。もちろん、自分は仕事中の彼女のことしか知らない。しかし人間、誰しも虫の居所や体調の悪い日はあり、しかも撮影で疲れ果てているところに取材を入れられたり、朝から何度も何度も同じような質問を繰り返されたりするワケで、それでも5年近く性格がいいという印象が崩れなかったということは、やっぱりいい子なんじゃないかと思う。*1


たかがインタビュー、されどインタビュー。何年も取材を続けていれば、それなりに見えてくるものはあるのだ。で、彼女はとても人間のできた子だったんだけど、あまりにも人を疑うことを知らないところがあった。たとえば、タクシー代がなくてヒッチハイクで撮影所に向かったという話は、自分も聞いた記憶がある。当時、ラジオでも話してなかったかな。インタビュー中、ぽろっと自宅の最寄り駅の話をしたり、その気にならなくても住所を特定できるような話をするので、テープ起こしを外注に出せなくて困ったもんだ。


変な話、それなりに信用してもらえてるんだなという嬉しい気持ちもあったけど、通りすがりの車に乗れちゃうような子なんだから、これで疑われてたら、お前はどんな取材をしてたんだってことになる。ただ、あの超お人好しの紋次郎だって、ここまで他人のことを信じたりはしないだろう。だから、いつか悪い大人に騙されやしないかと柄にもなく心配していたんだが、それが最悪の形で現実化してしまったというのが、自分の嘘偽らざる想いだ。特に、あの神様は信用しちゃあいけないんじゃないかなあ。それこそ余計なお世話、あっしには関わり合いのねぇことでござんすけれど……超獣紋太郎 何処へ行く。


ウルトラ怪獣シリーズ 48 ハイパークローン怪獣ネオザルス / バンダイ

*1:逆に言うと、お前なあ……! っていう態度のヤツもいるんだけど、彼らの過酷な労働環境であったり、勘違いしても仕方のない声援のすごさも知っているので、それだけで性格が悪いと断罪することもできないのだった。だって自分が十代、二十代だった頃のことを考えたら、ねえ?